名前 | 松本 裕 [准教授] Yutaka Matsumoto |
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出身地 | 大阪府 |
y-matsu@edd.osaka-sandai.ac.jp | |
内線番号 | 4375 |
研究分野 | 都市・建築の歴史・デザイン・設計に関する研究 |
担当科目 |
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所属学会・団体 | 【所属学会】
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経歴 | 【学歴】
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研究の内容
都市・建築の歴史・デザイン・設計に関する研究をしています。
都市や街がどのように形成されてきたかその歴史を学び、これからの新しい企画・提案やデザインに、いかに活かしていくか、を研究しています。その際、都市や街に固有の特徴を主に次の2点に着目して明らかにしていきたいと考えています。
1)「都市組織」の重層 (道路、広場、建築、その他さまざまな具体的構成要素の織り重なり具合)
2)社会的結合関係 (人間の諸活動と空間構成との関係性)
私の専門は、フランス・パリ(Paris)の研究です。
現在は、特に次の3つのテーマについて研究しています。
・セーヌ県知事オスマンによるパリ都市大改造からポスト・オスマン期に至る都市再開発とモダニズムの萌芽
・ZAC(協議整備区域)とよばれるパリの現代再開発計画
・パリ拡張計画からグラン・パリ計画に至る都市再整備とその理念・思潮
また、こうした海外事例に関する研究を日本のフィールドへと展開する試みとして、日本における「工業都市の形成」を研究しています。現在は特に次のテーマに取り組んでいます。
・大阪市周辺(東大阪市や大東市など)の中小工業集積地の都市化と再開発について
こうした研究の成果を皆さんに学んでいただくことが将来どのように役に立つか、というと
・国内外の旅行がたのしくなります!
・特に海外の事例を学ぶことで、日本のことをより客観的に捉える事ができるようになります。
・世界の諸都市の具体的な成り立ち、時代ごとの都市的・建築的・空間的アイデアや技術がどのようなものであったかを理解することで、これから必要とされる新しい提案に向けた基礎的な知識とコンセプトメイキングのスキルを身につけることができると期待します。
・調査・分析を通じて、フィールドワークや「GIS(地理情報システム)」の技法を習得できると期待します。
・都市的・建築的・空間的アイデアとは何か、またそのデザインとはどのようなものかを、身をもって理解していただけることを期待します。
授業の内容
講義:
講義は「建築史II(西洋建築史に相当)」(2012年度のみ)と「都市史」(2013年度から)を担当します。
専門分野である西洋都市を中心に日本の重要な事例についても、独自のスライドやテキストを用いて講義します。実際に行った調査・研究をもとに、具体的な事例を通じた本質的な事柄の理解を目指します。特に、パリに関しては、ちょっとした裏話や旅のお役立ち情報も盛り込んでお話したいと思いますのでご期待ください。
使用するテキストは、私も執筆に参加した『テキスト建築意匠』(学芸出版社、2006)です。
演習:
演習関係では、具体的な設計テーマにそって、都市フィールドワークを通じた都市・建築デザインの展開について丁寧に学んでいただきます。特に、作品とはどのようなレベルのものを指すのか、良いデザインとはどのようなものか、を一緒に考え体感してほしいと思っています。
卒業研究・修正研究:
卒業研究では、「卒業設計」をしていただきます。各自の自由な発想と若々しい問題意識を最大限尊重しつつも、単なる自己満足・自己チューな提案にならないよう、具体的な場所でのフィールドワークを大切にし、他者・社会といかにリンクしていくかをじっくりと考えていただきます。その上で、見た目にも優れたものに仕上げたいと思います(最後の見栄えが悪ければすべて台無しという覚悟で)。また、他者に向けたシンプルなプレゼンテーションとは何かを考え、その訓練をしていただきます。
こうした一連のプロセスは、拙著、松本裕『卒業設計コンセプトメイキング』(学芸出版社、2008)に詳しく説明してあります。ゼミ生は、嫌でもこの書をバイブルとしてもらいます。
ワンクリック
↓
卒業設計コンセプトメイキング
修士研究では、都市的なテーマで論文もしくはフィールドワークにもとづく提案・設計をしていただきます。
私の研究室にはフランスからの留学生の方がおられます。留学生の方々と積極的な国際交流を行い、各自の案をプレゼンし、アドバイスをいただいてください。
私にとっての環境デザイン
それについて分かったというとウソになるけれど、「何をめぐって問いが重ねられるべきか」がようやく分かってきた。
最近このように感じています。その「何」は、本質的なこと(少々青くさいですが、あえて「本質的なこと」=「ホンモノ」としておきます)にはすべて共通するのではないかと思います。すばらしい建築をはじめ魅力的な都市や街、古典と評価される文学や諸芸術、その権威を根底から揺さぶるような現代的な試み、真摯(しんし)な科学技術など、すべてこの「何」かをめぐる格闘の痕跡だと思うのです。「何」かは、遥かなる宇宙の存在や深淵なる人間のココロに似て、辿りつくことも言い尽くすこともできないはずです(そのとたんに、その当人が、あらわしたそのものに含み込まれざるを得ないから)。なのに、「分かった」といって超越的な存在や視点を持ち出したり予定調和に逃げると、それは「ウソ」(「ホンモノ」でない)になってしまうのです。
「環境デザイン」(「建築・」はあえてトリマシタ)もその「何」に値すると思います。
だから、めざされるべき重要な点は、「環境デザイン」とは「何か?」ではなく、「環境デザイン」をめぐって「どのように問うか」、です。
こうした「何」かをめぐって、真剣に粘り強く問いを重ね、カタチにあらわしていきたいと思っています。トリッキーなテクニックを行使するのでもなく、流行の後追いやかたち遊びでもなく。
今回の新「デザイン学部」「建築・環境デザイン学科」は、完全新装大開店ではなく、「環境デザイン学科」創設以来の20年のあゆみ(「環境デザイン」をめぐる)を礎とする発展的刷新です。20周年記念パーティー(2011年3月21日開催)はそのことを強く印象付けてくれました。卒業生の方々の社会でのバラエティーに富む活躍が紹介され、昔懐かしい卒業生の方々が、それぞれのおかれた場所・立場で誠実に役割を果たされていました。懇親会や二次会では、登壇されなかった方々の頑張りも、たくさん聞くことができました。
おそらく、こうした活動の痕跡こそが、本学科発「環境デザイン」なのでしょう。アントニオ猪木さんの雄たけびのように「踏み出せばその一足が道となり、その一足が道となる」のでしょう。「迷わず行けよ、行けばわかるさ。行くぞ~!! 1・2・3 ダ~ !!」 この前向きでハッピーな名言とは逆方向ながら、高村光太郎も人生を振り返って詩『道程』に、「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る」としたためています。
「環境デザイン」学科の歩んできた道は、「建築」「土木」「アート」といった見晴らしの良い、まっすぐな大通りというよりは、毛細血管のように人々の生活の隅々に届いて生き生きと血を通わせるような、「何」かに通じる道だと思います。
この学科に興味を持ち、入学される方々へ
ぜひ一緒に、「環境デザイン」をめぐって考え、未来に向けて意義のある問いを重ねていきましょう !_!