コース・カリキュラム

プロダクトデザインコースとは

驚きや感動を生むモノづくり、デザインを実践で学ぶ

さまざまな製品のデザインと人との関りを知ることで、デザインの可能性を探ります。

安心・安全、持続可能性、循環型社会といった、ますます重要性を増していくテーマに沿って、エコデザインやユニバーサルデザインについても研究。実習を通じて、アイデアをデザインへとつなげるための考え方やプロセス、プレゼンテーション術を実践的に学びます。

演習について

プロダクトデザイン演習Ⅰ・Ⅱ
モノのカタチには、理由がある。どんな人がどういう目的で使うのか。使った時に、どんな"感動"があるのか。モノづくりのデザインを追求する演習です。
建築・環境デザイン及び計画演習
少人数アトリエ体制のもと、自ら問いを立て、問題解決のためのアイデアを発想します。建築・環境デザインおよび計画の技術を向上させる演習です。

資格・就職先について

国家資格(平成24年4月予定)

卒業と同時に目指したい資格

  • 一級建築士特定科目の修得および卒業後2年以上の実務経験が必要です。
  • 二級建築士特定科目の修得が必要です。
  • 木造建築士特定科目の修得が必要です。

卒業と同時に資格取得

  • 中学校教諭一種免許状
    (美術)
  • 高等学校教諭一種免許状
    (美術)
  • 高等学校教諭一種免許状
    (工業)
  • 高等学校教諭一種免許状
    (工芸)

※教職課程の所定科目単位の習得が必要です。

公的民間資格(平成24年4月予定)

在学中もしくは卒業後に目指したい資格

  • 福祉住環境コーディネーター®
  • CAD利用技術者試験
  • 商業施設士
  • インテリアプランナー
  • 福祉施設士
  • カラーコーディネーター®

めざす業界

  • デザイン事務所
  • 企業・メーカーデザイン部門
  • WEBデザイナー
  • グラフィックデザイナー

就職先の例

  • 株式会社 博報堂プロダクツ
  • 株式会社ロジトーイ
  • burg《ブルグ》

プロダクトデザインコラム

プロダクトデザイン学科 大門 敏彦 教授

プロダクトデザインによって
「より良い生活・社会・環境」に変える

プロダクトデザインは、人間の生活環境の中で「モノ系」を対象とするデザイン領域である。しかしモノは単独に存在するのではない。「空間系」のスペースデザインや「情報系」のコミュニケーションデザインと相互に関わりあうものである。プロダクトデザインの分野は、インダストリアルデザイン(工業デザイン)や産業デザインという呼び方も可能であり広い分野である。

プロダクトデザインの領域

人間の生活の中でプロダクトデザインの領域は、商品(製品)によって支援するものである。生活空間には、「個人的な空間」や「公共空間」や「商業的な空間」がある。モノ(商品・製品)の発注は企業や自治体が主である。対象は不特定多数が利用する。プロダクトデザインは、製造業や建設業を代表とする産業との関係が強い。医療・福祉・輸送・建設工事などの生産に関係するモノと、カメラ・テレビ・乗用車・生活用品などの消費するモノがある。プロダクトデザインの領域は、工芸(クラフト)や建築やファッションや芸術などとの関わりの視点も大切である。

モノ(製品・商品)の多くは、18世紀後半から英国で始まる「産業革命」による「機械生産」によって工業生産されたものである。新しい「技術」や「素材」によってプロダクトデザインは様々な変化や進化をしてきた。

産業の中で「商品開発」というプロセスを通じて、生活環境に豊かな価値を生み出してきた。「機械生産」による「大量生産」と「大量消費」によって豊かな生活・社会・環境を手に入れた。しかし心の豊かさが求められ、「大量廃棄」による「地球環境問題」が20世紀後半に現れた。
いま自然環境と人間の生活環境との新しい「共生」の関係が求められている。21世紀は「エコデザイン」や「ユニバーサルデザイン」をふまえた「環境に配慮したモノづくり」が求められている。

プロダクトデザイナーの役割と
求められる能力

"モノづくり"を職業とする専門家がプロダクトデザイナーである。企業の利益の追求だけでなく「より良い生活・社会・環境」をつくる職業的な倫理観や使命感を持って社会貢献することが重要である。
「産業革命」以降、「工業社会」を誕生させた。デザインを考え製作する中世の「職人」から離れ、「機械生産」によって分業化することを可能にし、デザインを考える人と工場で機械生産する人をそれぞれ独立させた。「インダストリアルデザイナー」とよばれる専門の職業が誕生したのである。
プロダクトデザイナーは企業での「商品開発」の仕事に関わる。魅力的な商品(製品)を生産することによって新しく豊かな生活文化を創造し提案する。それによって企業や社会に貢献する。「商品開発」は、企画―開発―製造―販売のプロセスの中で、プロダクトデザイナーは「価値」を創造する。商品の使用によってユーザーに快適な生活と満足を与えること。企業に利益をもたらすこと。社会や環境にその商品が存在する意義を明らかにすること。
プロダクトデザイナーに求められる能力で、自然科学、社会科学、人文科学など広い知識が求められる。モノづくりに必要な人間工学・材料学・心理学・社会学・加工技術などの基礎知識も必要である。プロダクトデザインは「科学」と「技術」との連携なしでは成立しない。

  • 造形力、可視化する能力
  • コンセプトをつくる能力(仮説や概念を思考し形づくる能力)
  • コミュニケーション能力(考えを伝える。チームワークに必要な能力)

これらの能力は時代の変化に対応することが常に求められ、専門能力は固定的にはとらえられない。さまざまな課題に対する「問題解決能力」である。

日本のインダストリアルデザインの誕生

日本に西欧の影響を本格的にもたらしたのは、戦後の1950年代以降である。自動車、家電製品、精密機械などの産業が中心であった。当時、企業内には専門の「工業デザイナー」という職業はなかった。技術者がデザインを形づくることが多くみられ、海外のデザインの模倣が多かった。
工業デザインやインダストリアルデザイナーの重要性を痛感して、1952年に「日本インダストリアルデザイナー協会」が設立された。企業の中にデザイン部門ができたのは、松下電器産業に始まる。1951年アメリカから帰国した松下幸之助社長が「これからはデザインの時代だ」と発言したのは象徴的なことであった。

グッドデザインと「Gマーク制度」

1957年に藤山愛一郎外務大臣が英国を訪問したとき、日本の「デザイン盗用」を突きつけられた。外交ルートで年40件前後の苦情があった。デザイン模倣を止め商道徳の確立とデザイン開発の奨励を目的として「Gマーク制度」を1957年に制定した。輸出振興にとっても重要なことであった。「グッドデザイン運動」によって「優れたデザイン」を選定していったのである。

プロダクトデザインの発展

人間のさまざまな欲望を満足させるためにモノづくりをして、夢を具体的に実現してきた。商品(製品)という形あるモノを対象とするプロダクトデザインは、個々のモノの集合だけでは生活者の欲望の満足や快適さは得られない。サービスやシステムなども大切な要素である。また「モノの所有や使用」による満足も限りがあり、「心の満足」も欠かせない。
「文化」や「伝統」とプロダクトデザインの関係は切り離せない。国、地域、民族によって「価値観」も異なるものがある。「生活文化」の違いによってモノづくりの考え方も変わってくる。
 また、「日本の伝統」や「和」の世界とプロダクトデザインの関係も考えていく必要がある。優れた「職人の技術」と「デザイン」のコラボレーションが大切である。
また、デザイン表現技術もスケッチやパソコン、CADによるものなど常に関心をもって修得することが大切である。

各コースの内容

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