保育園児の頃から、住宅広告のチラシを見て間取りを想像したりすることが好きだったんですよね。
それと、私の祖母が障がいを持っていたことも要因のひとつなんですが、障がいを持った方でも住みやすい街作りができればと、中学、高校生になった頃には自然と、建築や都市計画に興味を持つようになりました。
授業や課題に取り組むなかで、先生方がよくおっしゃっていたのが、インテリアはインテリアだけ、建築は箱になる設計図だけを見ていればいいのではなく、全体を見ることが大切だということ。部屋からは外の景色が見えるし、さらにその外にはそれを取り巻く周りの環境もあるんだよという言葉は今も印象に残っています。
常に内と外を意識して作るということは、インテリアも建築も都市計画も全てに共通するんですね。この言葉がずっと根付いていて、ひとつのことにとらわれず全体をイメージしてデザインする今の仕事を志すきっかけにもなりました。
現在は空間デザイナーとして独立し、商店や住宅などさまざまな物件を抱えています。
商店なら、店舗デザインはもちろんお店のコンセプト作りからフライヤー制作・食器選びまで。住宅なら、各ご家庭の暮らしはもちろん将来の暮らしの変化までを意識してご提案します。全てをトータルに作り上げていくのが「空間デザイナー」の仕事です。
とは言え、この仕事には資格という資格がありませんので、実際に資格が必要な仕事が発生したときには、その都度、資格を持った方に申請業務を依頼します。そうすることで難なくクリアされますし、その分他の仕事に専念できます。
不動産屋、工務店、建築士の方など、とにかくいろんな人が関わる仕事ですので人間関係が何より大切な仕事だといえます。幸いなことに、今はとても良い仕事のパートナーたちに巡り会え、恵まれた環境にあると思います。
自分の作ったものが形として残っていくこと。
実際に私が独立したいと思ったのは自分がデザインしたものを形にしたいということが一番だったからです。そして、そのことによりお客さんが喜んでくれることは、何事にも変えられない喜びですね。
学生時代のアルバイトも今の進路を決定するにあたりとても参考になっています。一戸建ての住宅を中心としたインテリア事務所からアトリエ系建築事務所まで、実際に現場を体験することで、建築家でもインテリアコーディネーターでもない、もっと柔軟な空間デザイナーという職業を自分で作り上げる今につながりました。あと先生もおっしゃっていたことでよく"遊べ"ということも。学生時代には国内外いろんなところへ旅行に行きましたし、遊びから学べることもたくさんあるはずです。いろんな物を見て感じることがすべて建築に繋がるということを先生方はおっしゃりたかったのだと思います。学生時代に経験することは、無駄なものは全くなく、すべて将来に役立つことだと思いますよ。