まず絵を描くことが好きだったというのがあり、なんとなくデザイン関係の仕事に興味があったんです。
大学に入学した時点では、まだ将来はこんな仕事をして…なんて明確なヴィジョンはありませんでした。ただ、いくつかのコースを選択するときに、何か大きなことができるのではと都市計画について学べるコースを選択しました。
今でも覚えているのが、キャンパス内の学生会館という建物を一度取り壊すという想定で、周りの空間を含めオープンスペースのデザインを提案するという課題と、兵庫県姫路市の沖合いにある家島のまちづくりに取り組んだ活動が印象に残っていますね。
何をつくるにしても、その空間を形先攻で決めるのではなく、そこを誰がどのように使うのかを明確にした上で、形をつくっていかないといけないということを学びました。これは私の今の仕事にも通じることだなと思います。
4回生になり将来の進路を考えたときに、ちょうど僕たちの時代は就職氷河期と呼ばれた時代でもあったので、無理に就職するよりはその間にもう少し勉強しようと思い大学院に進んだんです。大学院時代に先生の紹介で参加した、造園学会が主催するデザインワークショップで、今一緒に働いているメンバーたちと出会うことになるんです。その後、僕は大学院を卒業し民間のコンサルタント事務所などで、都市計画の調査や計画策定に関する事業の進め方などを学びました。そして2006年、今の事務所からお誘いを受けこちらで働くことになったんです。
いろいろあるんですが、現在、関わっているものでいうとパークマネジメントという仕事があります。簡単に説明すると、使い手の減っている比較的大きな公園を、いかにいろんな人に利用してもらえるようにするかを地域のボランティアの方々と一緒に考える仕事です。これはまちづくりの中でいえば、住民が街を使いこなし、どう生活を豊かにするかということに繋がってきます。やっぱりこういう仕事は、自分たちが企画したプロジェクトに対して、クライアントやユーザーからダイレクトに反応が返ってくるので、やりがいやおもしろさを感じます。
大学の研究を進めるのはもちろんのこと、学校以外も含めて人との繋がりを作っておくことも大切ですね。
私の場合は、実際に今の職場のメンバーとも学生時代に参加したワークショップを通じて出会っているわけですし。意識的に活動の場を広げ、いろんな人と出会うことで将来の可能性もその分広がるはずですよ。