授業にはきっちりと出ていましたし、サークル活動もしていたので、それなりに充実していました。ただ2回生のときに、ふと大学生特有のゆるい雰囲気を感じることがあり、こんな状況でデザイン関係の仕事に就けるのだろうか?と不安になったんです。
そこで一度は退学を考え、専門学校へ行きたいと親に相談したことがあるんです。有り難いことに親からは「卒業してからでもいいんじゃないか」と諭され、せっかく入学したからにはできることを一生懸命やろうと思えました。
それからは、まだ当時値段も高くて学生の間ではそんなに普及していなかったmacを購入し、TシャツのデザインをしたりHPを作るバイトなどをしながら、学校以外でも楽しんで勉強をしていましたね。
もともと建築やデザイン関係の仕事に興味はありましたが、今の仕事に就くきっかけとなったのは3回生のときにクラフトコースを選択したことですね。
クラフトコースではその名の通り、図面を描くよりもさまざまな素材を使って、用途、場所を想定したモノ作りがメインとなります。そこで照明器具を作るという課題があったんですが、意外とそれが楽しくて。そのときの経験が、就職活動の際に選択肢のひとつとなったんです。
クラフトコースの課題は作品の制作から、その作品をどこでどう使うのかといったプレゼンまでがひとつの流れなんです。陶器をテーマとした課題に取り組んでいたときに、作品である陶器を焼いている最中に割ってしまい作品自体は不完全なままプレゼンに挑んだんです。作品自体は失敗だったんですが、プレゼンに関しては一番高く評価してもらえたんですね。そのときにプレゼンのおもしろさと重要性を感じました。自宅でプレゼン用の資料を工夫して作ったりということは、学生時代からしていましたので、その経験は今に活かされていると思いますよ。
入社してからは一貫して照明計画を担当しています。クライアント、設計事務所からの要望を聞き、施設&空間デザインに応じた「光環境」の提案を行い、結果としてその「光環境」を実現する自社の器具を販売することが主な仕事です。
ここ数年は百貨店や商業施設など大きな案件を担当させてもらっています。昨年には某百貨店のお仕事で省エネ照明デザインのグランプリを獲らせていただいたことが、よりやりがいにも繋がり自信にもなっています。この春の震災以降は省エネを実現する為の照明提案も大きな仕事のひとつとなっていますね。
今後は海外の物件を担当してみたいです。実際に、中国や韓国からの仕事の話も増えていきそうなので是非チャレンジしたいですね。あと百貨店などの大型の商業施設をずっと手掛けてきたので、その分野の第一人者を目指していきたいですね。