

建築家、インテリアデザイナー、環境デザイナーに求められる基礎的能力を養うコース。
建築・インテリアのプランニングの基本から、イメージにあわせた雰囲気づくりと空間構成、家具などのインテリアアイテムによる空間演出法を学びます。また、これらを建築技術に基づいてトータルに提案するため、CADやCGで表現するための技能を習得します。
※教職課程の所定科目単位の習得が必要です。
建築・環境デザイン学科 ペリー 史子 教授
インテリアデザインって何?部屋に家具をおくこと?という話を時々耳にする。これはインテリアデザインの大事な一面である。簡単なようで、実は考えることがたくさんある。選んだ家具やその配置によって部屋の使い勝手が悪くなったり、部屋が安全でなくなったりするからである。では、居心地のよい場所にするには何を、どうしたらよいのだろうか?また、建物の増改築を考えると、部屋を形つくっている床や壁、天井は、その表面だけではなく位置を動かすことが可能であり、部屋そのものの作り方を知る必要もある。
そこでまず、Interior(インテリア)と言う言葉について考えてみよう。「インテリアは…内部空間を意味するインテリア・スペースと言うことばの原意を探ってみると… inter-ior の ior は比較級語尾変化だから、中、間、内を意味する語幹 inter からそれは『より内側の空間』ということになる。」[1]
部屋に関わっては「造園家イアン・マッカーグが…『コートハウスは屋外に部屋をつくることであって、室内に庭をつくることではない。』」[2]
また、ユネスコの世界遺産に登録されている、動物の壁画で有名なスペインのアルタミラ洞窟もインテリア空間であり、その壁画はインテリアデザインである。インテリアデザインという言葉は、近年ポピュラーになってきたようであるが、人間の誕生と共に存在している空間のデザインであり、人間のworkである。
これらから、いわゆる壁・天井に囲われた部屋と言うイメージが変わってくるはずである。さらに、人々の活動の多くの部分が室内で行われることからは、インテリアとは人により近く人々に接している空間とも言える。
環境デザインの中で考えようとするインテリア空間とは、このような、より内側から、人の側から外に向かってつくられていく空間であり、内部性の高い、囲われているように感じられる空間である。これは建物内部に留まるのではなく、建物群に囲われた都市広場は都市のインテリアと考えられるようになる。インテリアデザインとは、室内をデザインするという捉え方ではなく、より内側の人と接する空間を、人と空間との関係に重点をおきながら、計画・デザインする、すなわち、抽象的アイディアから具体的空間へと変換していくことである。
そこにいるとゆったりと心が安らぐような、あるいは、そこに入ったらわくわくするような空間、爽やかな風を感じる空間、おいしく楽しく食事ができ、歩くことを楽しく感じる空間等々、様々な機能や用途に応じて人間の感覚を大切にした、多様な人々のための、より豊かな空間の表情をもつインテリア環境を提供することがインテリアデザインの目的である。この目的達成には、多くの課題が残されている。なぜならば、私たちと直接関わるインテリア空間が私たちの望み願っている空間に成り得ているとは未だ言えず、さらには、変化していく社会に対応し、将来のビジョンを見据えながら、新しい生活環境を考え、整えていく必要があるからである。
その大きな幾つかの課題として、
等があげられる。
インテリアデザインナーは、まず環境デザイナーとして、私たちの地球環境、生活環境や社会情勢に絶えず気を配り、インテリア空間に求められていることは何かを感じとる姿勢が大切であり、建築・インテリアデザイン分野だけを学ぶのではなく、幅広く音楽や文学等々にも思いを馳せ、視野を大きく広げることが大事であると言える。
このようにインテリアデザインを捉え、学び、研究することにより、活躍できる対象範囲はインテリア・建築デザイン分野に留まらず、都市デザインや総合的な環境デザインの中でのコーディネータ的役割にも広がり、分野が特化されると、人間とより密接な関係を有するという観点から照明・家具デザインという分野も期待できよう。
ベンジャミン・フランクリン・ハウス,フランクリン・コート,
フィラデルフィア
IBMプラザガーデン,ニューヨーク
キースの家
ホテルのロビー、ドバイ
桂離宮