新景観政策実施(平成19・2007年9月1日)に先だって、8月14日に「不適格マンション管理組合懇談会」WEB頁が立ち上がっています(「京都マンション管理組合懇談会」に2008/9/1に改称される))。その趣旨は
①「多くのマンションが条例上、「不適格」マンションになります。
②このことにより、既存のマンションの住人にとって、重要な不利益や被害が出ないよう、住人どうしの話し合いや、市民への訴えなど、様々な活動を行っています。
とあり、この政策のずいぶん乱暴または強引な規制に対する住民の不安を反映しています。
建物の高さとデザイン及び屋外広告物の規制等を全市的に見直す「時を超え光り輝く京都の景観づくり」というキャッチフレーズの、この景観政策の基になる「時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会 最終答申 平成18年11月」(本文A4サイズ36頁)を見てみます。(最終答申PDF入手頁)
良好な景観の実現は、環境の時代である21世紀型の方法に基づいてはじめて可能であり、行政などが目前の事象への刹那的感覚に基づき、定住している住民の生活実態を考慮せずに作成した政策を、地域住民に押しつけても、その成果を得ることが出来ない時代になっています。最終答申は、この点をどのように考えているのでしょうか。
行政が上、住民は下というヒエラルキーな思考パターンで現実を動かそうとした20世紀型の方法は時代遅れです。最終答申は、そのような時代遅れの方法を脱皮しているのでしょうか。
「不適格マンション管理組合懇談会」(「京都マンション管理組合懇談会」と2008/9/1に改称))は、景観を良くすることに反対するのではなく、その政策が生活破壊を引き起こすことを危惧する立場であることが伺えます。このような生活者の視点と大所高所からの景観政策、悪く言えば生活の場のリアリティが欠けている恐れのある景観政策との齟齬・矛盾の解消につながることへと展開していくことが、この稿のテーマです。
江戸時代から明治維新までは、社会が士農工商に分けられ、人々は、この階層の中で、分をわきまえた暮らしを展開してきたが、環境の時代においては、多様であることが価値であり、人々は言うに及ばず、人間以外の生物にも多様さを認めることが生態系全体を維持するために必要であると、我々は気づきつつあります。
多様であるとは、かつてとか経験では物事が判断できない事柄が多く、それらにより社会が動く側面が増えてきていることを意味します。環境デザイン的に言えば、環境デザイナーと言えども、もはや環境デザイナーの「卵」であると自覚する必要があることを意味します。言い換えれば、社会との関係では、専門家は、今までのように狭い殻に閉じこもっておれないことを意味します。このことを端的に表現するものとして、ある環境学者の言「環境について本に書かれていることは、間違ってはいないが、正しくない」に現れています。
まちづくり、景観づくりを十把一括りで処理するやり方は、持続不可能な20世紀型の考え方であり、最終答申は、この辺りをどのように考えているでしょうか。
「21世紀型」の特性は持続可能性です。それは、住民が愛着をもって、そのまちに住み続けることができることを意味します。住んでいる住民が追い出され、ホームレス化となる政策は、持続不可能な20世紀型都市計画のやり方に固執しているからではないでしょうか。環境問題における住民の果たす役割が大きい例として、下記の図を見てみます。枚方市の小学校に配布された環境副読本「平成18年度わたしたちのくらしと環境」(枚方市、25頁)の図です。家庭から出る生活排水が川や海を汚す原因の77.6%であり、川をきれいにするには家庭排水をコントロールすることが重要であり、それは住民の意識に任されています。このように環境にとって住民の働きが大きいことと同様に、景観も、住民の暮らしの中に根を持たないと、持続可能とはならないでしょう。暮らしを含まない景観は、映画村やディズニーランドで十分です。最終答申は、この辺りをどのように考えているのでしょうか。
政府は、平成15・2003年に施行した「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律」の「第2条 定義」において、『「環境保全」には、「良好な環境の創出」を含む』と書いています。また、この法律を受けて、翌年「環境保全の意欲の増進及び環境教育の推進に関する基本的な方針」(平成16年9月)に沿って環境教育を積極的に推し進めようとする国策的教育界の動きがあります。つまり、保全と創出は一体であるということが、国策的立場であり、狭い意味の保全だけでは、国策に反します。同様に、景観政策にも保全と創出が一体的に入っていなければなりません。最終答申は、この辺りをどう考えているのでしょうか。
このテーマは、新景観政策の根拠となる「時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会 最終答申 平成18年11月」(本文A4サイズ36頁、最終答申PDF入手頁 アクセス:2008/4/17)のあまりの粗雑さにビックリし、典型例として「不適格マンション」(「京都マンション管理組合懇談会」WEB頁(「不適格マンション管理組合懇談会」を2008/9/1に改称))を取り上げて展開しています。
この新景観政策に関わる京都市の動きは、 「京都市情報館」WEB頁の検索欄 に、"時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会"と入れるとまとまって出てくる。(アクセス:2008/4/17)
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